カメラ撮影には欠かせないNDフィルター。DJI Osmo Pocket3用の製品を各社続々と販売を始めている。DJI純正やFREEWELLが有名だが今回はSTARTRCというメーカーのNDフィルター6パックを購入してみた。
何そのメーカー怪しくない?と思うだろう。怪しい会社は大抵中国でSTARTRCも中国に本社を構える会社だ。ラジコンドローンとアクションカム用のアクセサリー専門会社で2012年から運営されている。一応Amazonを通してアジア・ヨーロッパ・アメリカなど世界180か国以上で販売している。有名メーカーのOEMも請け負っており高品質製品に自信がある企業だ。
日本でもAmazonで購入可能なSTARTRCのNDフィルターの実力をレビューする。まず結論から言うが安くて高品質なのでとてもおすすめできる製品である。
Pocket 3用のNDフィルターを選ぶポイント
NDフィルターは何ぞやというとカメラ用のサングラスだ。意図的に光量を落としてシャッタースピードを遅くすることが出来る。Pocket3はレンズに絞りが無いのでシャッタースピードとISOで明るさを調整する。その都合で屋外ではシャッタースピードが1/1000以下になってしまいパラパラした映像となる。そこでNDフィルターを使ってシャッタースピードを遅くすればモーションブラーが発生して自然な映像になる。
Pocket3でNDフィルターを選ぶ際のポイントは以下の通り。
Pocket3のNDフィルターを選ぶポイント
- 磁力の強力なもの
- ND16,ND32,ND64が入っている
- 色味が変化しない
- ND/PLは避ける
1つめは磁力の強さ。普通のカメラはねじ式でセットするがPocket3は磁石でくっ付ける。磁力が弱いと撮影中に落下してしまう。
2つめは種類。16,32,64の3つが欲しい所。Pocket3はISO50~になったのでND128以降は不要だろう。後で撮影テストで出すけどND64でも十分暗くなる。
3つめは色味。NDフィルターはサングラスなので付けない場合と比べると若干色が変化する。なるべく色味の変わりにくいフィルターを選びたい。
4つめがPLフィルターと兼用しているものは避ける。PLは偏光の事で光の反射をコントロールすることが出来るがその反面,全体的に黄色みが掛かった映像になる。
それだけなら編集で補正できるのだが,Pocket3は広角レンズなのでPLフィルターの片効きが顕著に出る。PLフィルターは光の角度で効果が変わるので広角レンズとの相性が悪い。空を撮影しても太陽からの距離に応じてムラのある青空になってしまう。
特に移動しながら撮影することが前提のこのカメラで太陽に対する向きが変わる度にPLを回していたら面倒この上ない。NDとPLは分離しているものを選んだ方が絶対に楽。
フィルター関係はぼったくりが横行
上記で述べたポイントを満たすPocket3用のNDフィルターはいくつかあるんだけどその中でも比較的安価なのがSTARTRCだった。
純正は16,64,256のセットで9,600円だしFREEWELLはALLDAYキットという使わない物てんこ盛りの15,000円のセットしかない。使わない色付きガラスにこんなお金だせないと困っていた所にSTARTRC。
STARTRCはクーポンを使えば8,000円でND8,16,32,64,256,CPLの6セットが購入可能。フィルター1枚1,400円なら許容範囲。
プロ向けの一眼カメラ用なら反射を抑えるコーティングも高品質なものをしているから高価なのはわかる。素人向けのVlogカメラやアクションカムのフィルターなんて1つ開発してしまえばサイズを変えて複数製品に応用可能だろうにどうしてこんなに高いのか。
もう中華しか買えない。
STARTRC NDフィルター 6パック 仕様
ケース付きでゴムクッションが敷いてありその下に鉄板が仕込まれている。フィルターは磁石でケースに固定される。またケースの蓋にも磁石が付いていてカチッと蓋が閉まる。
フィルター裏の磁石は長めのフェライト磁石が左右に仕込んである。割と大きいお陰でPocket3に装着すれば外れる心配はない。またNDフィルター,CPLフィルター共にPocket3に装着したままレンズの格納が可能なサイズ。
写真だと見難いけどフィルター上下に摘まみやすい様にスリットが彫られているのも好印象。本体から外すときに結構力がいるんだけど,スリットのお陰で脱着しやすい。
CPLフィルターを回転させる際の力は丁度良い。硬すぎて回らない製品もあるらしいのでその点はよかった。全体的に高品質な製品だと思う。
レンズは4層コーティング,フレームはアルミ製で1枚の重量は1.2gとなっている。
STARTRC NDフィルター 撮影テスト
CPLフィルターも試したかったので河原でテスト撮影を実施した。動画撮影後に画面キャプチャしたものを掲載。撮影しながらのフィルター交換は大変で,セルフィーに切り替えてレンズを自分に向けて交換後また戻す方法になる。
このやり方だと画角が都度変わってしまうけど,そこはご愛敬。
色温度5600K ISO50-100 カラーノーマル 他オート
色温度を5600Kに固定しての撮影。NDフィルターが明るさにどの程度影響するかを見るためISOは50-100とした。
結果は御覧の通り。ND32までは色味の変化は気にならない。ND64とND256は暗すぎる。冬の晴天時はND32で十分だろう。
CPLは水の反射を綺麗に消して水底が良く見えるが映像が全体的に黄色くなる。映像が夕方のような雰囲気になってしまうので常用には向かない。
フルオート カラーノーマル
フルオートで撮影した結果がこちら。ND32から色味が大きく変化している。またND64以降は光量不足のためISOを上げての撮影になっている。
NDフィルターを付けない状態で色温度を固定した後,NDフィルターを装着しての撮影が自然な色になるようだ。
色温度5000K ISO50-100 モーションブラーテスト
色温度5000K,ISO50-100に固定してモーションブラーのテスト撮影を行った。
NDなしの場合,水車から散る水滴が粒になっているのが良く分かる。NDを大きくするにつれて水滴は線上になり水車の入水口からの水も流れが表現出来ている。ただND32では全体的に暗い映像となった。
静止画で見ると全て味わいがあるが,動画となるとNDなしはパラパラとして目が疲れる映像だ。この場合ベストはND16だった。
一通り試した結果,ND16,ND32,CPLの使い勝手が抜群によい。NDは屋外常用,CPLはガラスや水面の映り込みが気になる時に使用する。
正直ND256は色味の変化も大きいし,使い所が難しいので無くても良いと感じた。2つを保護ケースに収納して1つは本体に装着しておけば手軽に持ち運べる。
まとめ
一歩先行く映像に欠かせないNDフィルター。比較的安価で実用性のあるSTARTRCの6パックセットはスターターセットとしておすすめ出来る。十分な品質と実用性のあるモノだけをセットにしてくれている所も有難い。
ケースの鉄板や脱着用のスリットなど細やかな配慮もある製品で好印象。STARTRC製品は日本では現在Amazonしか取り扱いが無いので,このメーカーの物が欲しいならAmazonへGO。