サイドケースってなんであんなに高いのか。
アルミのパニアケースを左右で揃えると、余裕で10万円を超えてくる。かといって安い樹脂ケースは、見た目がいかにも「スクーターの箱」っぽくて、アドベンチャーバイクには似合わない。悩ましいところだ。
そこに現れたのが、**SHAD(シャッド)のTERRAシリーズから登場した新型サイドケース「TR27」**である。TERRAといえば、Red Dot Design Awardなどを受賞したアルミケースで知られるSHADのプレミアムライン。その名を冠しながら、定価は左右セットで37,400円(税込)。安い、TERRAなのに。
本記事では、SHAD日本公式サイトの情報をもとに、TR27のスペック・特徴・注意点を整理し、同じSHADのSH23、SH36、アルミのTR36とも比較していく。キャンプツーリングや林道ツーリング用にサイドケースを探しているなら、ぜひ最後まで読んでほしい。
SHAD TERRA TR27とは?基本スペックをおさらい
まずは基本から押さえよう。何者なのか、TR27は。
TERRAシリーズ初の樹脂サイドケース
SHADは1973年にスペイン・バルセロナで誕生したバイク用ケースのブランドだ。80か国以上で使われていて、日本では株式会社カスタムジャパンが総代理店を務めている。
TERRA(テラ)はラテン語で「大地」を意味する、SHADのアドベンチャー向けラゲッジシリーズである。これまでTERRAのサイドケースといえば、TR36やTR47といった硬化アルミ合金のケースが中心だった。
そこに加わったのがTR27。TERRAのトップケースTR41・TR46と同じく、高強度の強化ポリプロピレン(PP)製のサイドケースだ。SHAD公式によると、開発には2年以上、3,000時間以上の検証テストを費やしたという。400時間以上の振動テストに加え、耐衝撃、ヒートショック、こじ開け、走行ノイズ、実輸送のテストまでこなしている。本気なのだ、樹脂ケースでも。
東京モーターサイクルショー2026でも注目を集めたモデルで、SHAD JAPANの公式サイトでは2026年8月21日に新登場のニュースが公開された。なお、国内の正式な発売日は公式情報なしである。
TR27のスペック一覧


SHAD日本公式サイトに掲載されているスペックをまとめた。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 容量 | 27L/27L(左右) |
| カラー・仕様 | ブラック/アルミパネル |
| 質量 | 約7kg(左右セット) |
| 材質 | 本体:PP(ポリプロピレン) |
| 外寸 | H340mm×W500mm×D280mm |
| 内寸 | H335mm×W490mm×D270mm |
| 最大耐荷重 | 7kg(片側) |
| 防水性 | IPX5相当 |
| 取付方式 | 3Pシステム/4Pシステム(4Pは別売アダプターが必要) |
| 付属品 | 左右ケース各1個、トップケース装着用予備キーシリンダー×1、キー×2 |
| 保証 | 1年 |
左右セットで約7kgということは、片側あたりおよそ3.5kg。かなり軽い部類だ。なお、ヘルメットが入るかどうかは公式情報なしなので、ヘルメットの収納を前提にするなら購入前に販売店へ確認してほしい。
価格は2仕様、どちらも左右セット


TR27はブラックとアルミパネルの2仕様。価格は以下のとおりだ(SHAD日本公式サイトの定価、2026年10月時点)。
| 仕様 | 品番 | 定価(税込) |
|---|---|---|
| ブラック 左右セット | D0TR27100 | 37,400円 |
| アルミパネル 左右セット | D0TR27200 | 44,000円 |
どちらも左右セットの価格というのがポイント。アルミパネル仕様は天面にアルマイト処理のアルミカバーが付き、TERRAのアルミケースに近い雰囲気になる。差額は6,600円。見た目にこだわるなら、アルミパネル一択だろう。
TR27の魅力は「軽さ・防水・積載」の3拍子
スペックだけでは分からない、TR27の推しポイントを見ていこう。
強化PPとアルミのハイブリッド構造で軽くてタフ


TR27最大の特徴は、ポリプロピレン×アルミのハイブリッド構造である。ケース本体は軽くて衝撃に強い強化PP、トップカバーは傷に強いアルマイト加工のアルミ(アルミパネル仕様の場合)。さらにボディはリブ構造で補強され、トップリッド、ヒンジ、底面、ベースまで強化されている。
アルミケースはカッコいい。でも重いし、高い。樹脂ケースは軽くて安い。でも安っぽく見えがち。その「いいとこ取り」を狙ったのがTR27というわけだ。
左右セットで約7kgという軽さは、車体の取り回しやバランスにも効いてくる。林道でバイクを押し引きする場面を想像してほしい。軽いほうがいいに決まっている、ケースは。
IPX5相当の防水性とワンキー操作
ツーリングでつらいのが、突然の雨。TR27は全方向から高圧水を当てるテストをクリアし、IPX5相当の耐水性を確保している。開口部はラバーシール付きの上開き構造だ。
上開きというのも地味にうれしい。横開きのケースだと、開けた瞬間に荷物が崩れ落ちることがある。上から出し入れできれば、その心配は少ない。
操作系は、**開閉・ロック・車体からの脱着を1本のキーで行える「ワンメカニズム・ロック」**を採用。フタはプッシュボタンで開く。しかも、キーを「OPEN」の位置にしておけば、キーレスでの開閉も可能だ。休憩のたびに鍵を差し込む手間が省ける。
天面フックでさらに積める
TR27の天面には、4つの一体型カーゴフックがある。ここにバッグやレインウェアを括り付ければ、ケースの外にも荷物を追加できる。
キャンプツーリングだと、どうしても荷物が増える。テントやチェア、寝袋。ケースに入りきらない物をどうするかは、いつもの悩みだ。TR27なら、上に積めばいい。ただし、片側の最大耐荷重は7kg。積みすぎには注意したい。
SH23・SH36・TR36と比較!TR27はどんな人向け?
SHADのサイドケースは種類が多い。迷うのはここだ、たいてい。同じSHADの人気モデルと比べてみよう。
SHADサイドケース4機種のスペック比較
価格はSHAD日本公式サイトの定価(税込、2026年10月時点)である。
| 項目 | TR27 | SH23 | SH36 | TR36 |
|---|---|---|---|---|
| 容量(片側) | 27L | 23L | 36L | 36L |
| 素材 | PP | PP | PP | アルミ |
| 開き方 | 上開き | 上開き | 横開き | 横開き |
| 最大耐荷重(片側) | 7kg | 5kg | 10kg | 10kg(※) |
| 取付方式 | 3P/4P | 3P/4P | 3P/4P | 4P |
| 質量 | 約7kg(左右) | 公式情報なし | 公式情報なし | 約5.6kg(左)/約5.8kg(右) |
| ヘルメット | 公式情報なし | 入らない | XXLのフルフェイスも可 | 入らない |
| 定価(税込) | 37,400円(左右) | 30,800円(左右) | 89,100円(左右・カーボン) | 152,900円(左右・シルバー) |
※TR36の耐荷重は、SHAD公式サイトのTERRAシリーズページに記載された「アルミケースの最大推奨積載量」の数値。TR36の左右合計は、左用73,700円と右用79,200円の合計である。
こうして並べると、TR27の立ち位置がよく分かる。SH23より大きくてタフ、SH36やTR36よりずっと安い。ちょうど真ん中、しかもコスパ寄りなのだ。
SH23との違いは「容量・耐荷重・防水性」
価格が近いのはSH23。差額は6,600円だ。
SH23は「シリーズ最小サイズ」をうたうスリムなケースで、片側23L、耐荷重は5kg。車幅を抑えたい人や、街乗り中心の人には今でも魅力的な選択肢である。
一方のTR27は、片側27Lで耐荷重7kg。そのうえIPX5相当の耐水性、天面フック、キーレス開閉まで付いてくる。SH23はキーレスでの開閉ができず、公式でも「完全防水ではない」と明記されている。
6,600円の差で、容量・耐荷重・防水性がまとめて手に入る。ツーリングに使うなら、TR27を選ばない理由が見当たらない、正直。


SH36・TR36との違いは「ヘルメット収納と価格」




容量重視ならSH36やTR36が候補になる。
SH36は片側36Lで、XXLサイズのフルフェイスヘルメットも収納できるのが強み。耐荷重も片側10kgとたっぷりだ。ただし定価は89,100円と、TR27の2倍以上になる。
TR36はTERRAのアルミサイドケースで、Red Dot Design AwardとiF DESIGN AWARD 2021を受賞したモデル。約1.2mm厚のアルミボディにステンレスのロックを組み合わせ、設計から製造までスペインで行っている。見た目も質感も最高峰だ。ただし左右別売りで、シルバーを左右揃えると152,900円。ヘルメットは入らない。
つまり、こう選べばいい。
- ヘルメットをケースに入れたい → SH36
- アルミの本格アドベンチャー仕様にしたい → TR36
- 軽さとコスパ重視で、旅の荷物をしっかり積みたい → TR27
TR27を買う前に知っておきたい注意点と選び方
いいことばかり書いても仕方がない。買う前に知っておくべきポイントもまとめておく。
取付には車種別のフィッティングキットが必要


TR27には取付金具が付属しない。車種別の3Pシステムまたは4Pシステムのフィッティングキットを別に用意する必要がある。
- 3Pシステム:SHAD特許の方式。ケースを外すとステーが目立ちにくく、車体がすっきり見える
- 4Pシステム:4点で支える頑丈な方式。ハードなアドベンチャーユース向け
注意したいのは、4Pシステムで装着する場合、別売の取付アダプター(品番:29585380/D1TR27FIR)が必要な点だ。このアダプターの価格は公式情報なし。フィッティングキットの価格も車種ごとに異なるので、SHAD JAPAN公式サイトの適合検索で、自分のバイクに合うキットを確認してほしい。
また、TR27はSH23との併用ができない。SH23はフィッティングキット側の一部パーツを専用品に差し替えるためである。SH23から乗り換えるなら、差し替え前のパーツが必要になる点も覚えておきたい。
TR46と組めば合計100Lのフルパニアに


TR27を選ぶなら、ぜひ検討したいのがトップケースとのセットだ。TERRAのトップケースTR41・TR46とは構造を共有していて、同じ仕上げで揃えると統一感のあるフルパニアになる。
SHAD公式がおすすめしているのは、TR46×TR27の組み合わせ。TR46は46Lでフルフェイスとジェットの2個を収納でき、TR27の左右27Lと合わせて合計100Lになる。長距離ツーリングや2人旅でも、荷物の置き場に困らない。
価格も見ておこう(SHAD日本公式サイトの定価、2026年10月時点)。
| 組み合わせ | ケース代の合計(税込) |
|---|---|
| TR46 ブラック(31,900円)+TR27 ブラック(37,400円) | 69,300円 |
| TR46 アルミパネル(36,300円)+TR27 アルミパネル(44,000円) | 80,300円 |
※フィッティングキット代は別途必要。
トップとサイドの3つのケースが、アルミのTR36左右セットより安く揃う。これは大きい。さらに、TR27の右側ケースに付属するキーシリンダーをトップケースに装着すれば、3つのケースを1本の鍵で開け閉めできる。組み合わせごとの可否は、SHAD JAPAN公式サイトのワンキー化ガイドで確認しておくと安心だ。
専用インナーバッグで使い勝手アップ


ケースの中で荷物が暴れるのが気になるなら、**TERRA専用インナーバッグ TR27(品番:X0IB27)**がおすすめだ。容量15L、ポリエステル製で、ショルダーストラップが付属する。定価は12,100円(税込、2026年10月時点)。
宿に着いたら、インナーバッグごと持って部屋へ。ケースから荷物を1つずつ出す手間がなくなる。地味だが、旅の快適さが段違いになるアイテムである。
まとめ:TR27はコスパ重視のアドベンチャーライダーの最適解


最後に、SHAD TERRA TR27のポイントをおさらいしよう。
- 定価は左右セットで37,400円(税込、2026年10月時点)。アルミパネル仕様でも44,000円
- 強化PP×アルミのハイブリッド構造で、左右セット約7kgと軽量
- IPX5相当の耐水性と上開き構造で、雨の日も荷物の出し入れも安心
- ワンキー操作とキーレス開閉、天面フックで使い勝手も良好
- 3P/4Pシステムに対応。ただし取付金具は別売で、4Pは専用アダプターも必要
SH23より一回り大きくてタフ。SH36やTR36よりずっと手ごろ。「アルミケースは高すぎる、でも安っぽいケースはイヤ」というライダーにぴったりのサイドケースである。
TR46と組めば、合計100Lのフルパニアも現実的な予算で手に入る。週末のキャンプツーリングから、ロングツーリング、林道まで。荷物の心配から解放されると、旅はもっと自由になる。
次のツーリングシーズンに向けて、チェックしておいて損はない、TR27は。




